[ナユタは気づいていただろうか。
それともフランクから聞いていただろうか。
もしかしたら、どちらでもなかったかもしれない。
何にしろ暫く黙って、ナユタの心が少しでも整うことを待つ。
手元に視線を落とせば、震えはもう消えていた。]
初恋、だったと思う。
それまでは、女の人が好きだって言い聞かせてたから。
[初めて恋に落ちるということを知った。
溺れそうなくらい、胸の苦しい想いだった。
どうしたらいいか分からなくて、彼には随分迷惑をかけたと思う。]
告白して、きっぱり振られて。それだけ。
僕とフランクさんの繋がりはたったそれだけのものだった。
[フランクのした行為がひどいことだとは、今でも思っていない。
胸がえぐれるような痛みを感じたけれど、それは自身が望んだことで、彼はそれを叶えてくれただけだ。]
(166) lac 2013/06/10(Mon) 17時半頃