─ 回想:誰にも言わない ─
[ 結局、俺に与えられた役は何だったのだろうか。
零のお目付け役ついでによく見るようになった練習。
見知ったクラスメイト達は、演技によって見知らぬ誰かに。
でもその様も段々と馴染み深いものになっていく。
消去法で選んだ演劇だけれど、やってみれば中々面白い。
家での勉強のの休憩中に、脳内で舞台を上演させる程度には気に入っていた。
その日、衣装が出来たよと連絡があって、クラス中がワッと盛り上がった。
ステージの上で映えるように鮮やかな色をした衣装たちを、皆が目をキラキラとさせながら、或いは笑いながら取り囲んでた。
着てみてよ、と誰かが行ったのを皮切りに、男子たちがその場でシャツを脱ぐ。
それを見た女子たちがきゃあきゃあと叫びながら背を向けたり、文句を言ったりする。
けれどそんな男子のおふざけも、許されてしまう雰囲気になる程俺達ははしゃいでいた。 ]
(166) 2016/09/19(Mon) 21時頃