―→シャワー室へ―
[シャワー室へ向かう道程、二人に声をかける。]
ねえ、昨日の、『人が人の中に取り込まれる』って話、本当に、そうなのかな。
二人は、どこまで、本当にそう思ってる?
[あの話を聞いて、思い出したことがある。]
わたし、みんなが話してたあの事件については、全然知らなくて。
飛行機が行方不明になったことは覚えてるけど、あんな結末だったなんて、記憶になかったくらい。
でも、皆の話を聞いてて、少し似た話を思い出した。
[父の本棚にあった本。親子の話。そういうものを取り扱った本が、父の書斎にはたくさんあった。父は、大学で教鞭をとっている。]
とある父子家庭の話、なんだけど。父は、子を虐待してた。母は、ずっと前に他界してる。
そういう状況で、父親が、その子どもの中に、取り込まれた。そういう話。
集団失踪事件でもないし、結局、父親は子どもの中から出ることに成功してる。
『妻が自分の代わりに娘の中に残ってくれた』そう証言したって、本には書いてあった。
でもね、その父親が求められたのは、『心から反省すること』
(166) 2014/04/11(Fri) 09時頃