― 自室→ケイトの部屋 ―
[ようやく、身支度を整えた。
部屋を出るまえに、窓から外をじっとみる。
ひどく視界が悪そうだ。普段なら窓から見える木々が全く見えない。
ムパムピスは聖書を手に、自室を出た。
一番最初にクラリッサによって死体が発見されたケイトの部屋に向かう。死体はベッドに横たわったままだ。]
……。
ぼくなんかでごめんよ。
吹雪が晴れたら、神父様にきてもらうのがいいね。
[と、ケイトに話しかける。
ただの休暇中の一学生である自分は、聖水も聖油も持ってはいない。聖書だけ、持ってきた。
このまま何もしないのでは、あまりに気の毒だ。
どうせ順番が違うのだからと、だらりと垂れたままになっていたケイトの黒い手をとる。
ケイトの両手を、胸の上で組み合わせた。
ムパムピスは、ケイトの部屋の椅子を借りて、聖書を朗読している。]
(165) 2013/02/06(Wed) 01時頃