[幼子をあやすのに最適な催しは他にも沢山ある。
人形劇にバルーンアート、即興で似顔絵を描いて貰うのもほどよく時間が潰れて、土産としても悪くない。
──腕の中にある主が、何に惹かれるか把握していた。
知っていて、視線を遠ざけることを敢えてしなかった。
高々となる警告音に誘惑に負けたのは、さて、どちらか。]
順番、順番ですよ。坊ちゃん
もうすぐですからね
はい……? ああ、あれは「しゃしょうさん」です
ガタンゴトンを動かすのに欠かせない……ん?
は、は。ええ、かっこういいでしょう
坊ちゃんもおおきくなったらあの人みたいに?
[なりたいですか──なれたらいいですな。
そう笑いかけながら、頭では別のことを考えていた。自身と彼は、幼い主と彼よりずっと歳が離れているのだという、現実。]
(165) 2019/07/31(Wed) 01時頃