――回想:いつかの放課後――
……ああ。
[文化祭よりずっと前の、ある日の放課後。
大和からの問い>>111には、頷くだけの簡単な答えを返した。
母親は小さい頃に亡くなった、と言ったら、気を使わせてしまうだろうか、と思って。
だが、健士郎“も”、ということは、彼女も父子家庭なのだろう。それなら無用な心配だったかもしれない]
……別に、すごくはない、と思うが。
家事をしているといっても、特別上手いわけではないしな。
そういう作業が嫌いではないから、親父の代わりにやっている、というだけだ。
[家事は親父か自分、どちらかがしなければならないことで。
高校に入るころから自分が買って出てやるようになったのは、部活に入りたくなかっただとか、そういう打算も含めてだったから、別に褒められるようなことでもなかったし、すごい、だなんて言われたのも、その時が初めてだった。
なんだか照れくさくなって、顔を少し背ける。]
(165) 2017/03/08(Wed) 23時半頃