[ 何か訴えるような視線を受ければ───障害などと認識されているとは知らないが───ぞくぞくとこみ上げてきて、口許に三日月。
こんなに抵抗を受けたのは、初めてやもしれない。それもそうだ。これまで周囲を"可愛がる"際、武器やステータスで圧倒してきたから。
高貴で、それでいてこうも必死に生のために足掻く人間は、きっと彼が初めてだった。子供のように目が輝く。]
ああああ、すげー、あんたすげーよ
やっぱさァ生きてる人間っていーな…!
[ まさに殺そうと動く一人でありながらそんな戯言を吐き、下ろしていた腰を一瞬だけ浮かべ──血の滲む脇腹目掛けて、ドスンと勢いよく下ろした。男のズボンにも染み込み、左尻のあたりは黒くなっていた。
そうして、掴みかかられた手をふたたび解こうとして、叶えばさらに手首を上から掴んで床に縫い付けようとする。]
(163) 2016/03/05(Sat) 19時頃