いや、ダメだ。ラブレター寄越すような男はやめろ。
目の見えないお前に、そんな告白するような男はダメだ。
お兄さんは認めない。
──……ちゃんと声で、だな。
そのうち好きだとか、愛してるだとか。そんなこと、伝えてくれる野郎が現れるだろうさ。
[喪うのが怖くて、だから手に入れようと動くことも怖い。
そんな己の口からは、多分出せない言葉。
それをマーゴに伝えるだろう、現状のところ存在もしない男を思い浮かべれば、まぁ、かなり本気で業腹になるから呆れてしまう]
ほら、着いたぞ。
お疲れ。今日は早めに休めばいい。
[こぼれた溜息は、己への呆れがなさせたもの。
マーゴに訪れればいいと一方的に願う……願いきれない部分もある未来を押し付けているうちに、足は目的地について。
玄関先まで導けば、そう告げてマーゴを導いていた手をゆっくりと離しその頭を撫でた。
彼女が家の中へと滑り込む動きを見せるのと同時に、その手は離れるだろう。*]
(160) 2015/05/11(Mon) 23時頃