[困惑を含む声で、セオドアが引いたのが解った。ベネディクトは子供の頃から諸々の理由で相手から距離を置かれることには慣れている。寧ろ気持ち悪いと唾を吐き捨てられなかっただけ、セオドアには好感が持てた。]
ボコられた。つまり、虐待かな。なるほど。
虐待は十二分に親殺しの動機になりうるね。
確かにありがちだ。
でも、ありがちということはそれだけ多くの子供が苦しんでいるということの裏返しでもあるはずだ。
なのに周囲からの助けも中々得られない。
その上、先に手を出してきたのは向こうなのに、やり返したら法で裁かれるのは子供のほうだなんて――。
[ベネディクトは自らが少し喋りすぎたことに気づく。言葉を途中で止め、代わりにこんな言葉で締めくくった。**]
君"も"、きっと苦労したんだろうね。
心中お察しするよ。
せめて君の残りの人生が、幸福であることを祈ろう。
(159) 2012/04/08(Sun) 17時半頃