[女性二人の前で男性も来てくれたら、なんて口にするのは失礼だ。その部分には触れなかった。
さて、炬燵に入らない理由。それは子供の頃の思い出が原因だ。
長期の休みに家族で帰省した父の実家、祖父母の住む古い一軒屋。
寒かっただろう温まりなさいと手を引かれ連れて来られた居間で初めて見る物体と遭遇した。
これは、もしや、家には無く今までテレビの中でしか見たことが無かった炬燵なのでは?
裏付けるように祖父母はピンクの厚い布を捲り足を入れて腰を落ち着かせる。
僕も嬉々として二人を真似たわけだが……
足が冷たい。
それはテーブルに掛け布団を乗せただけのエセ炬燵であった。
エセ炬燵は確かに作り主の孫息子の心に些細な傷を残したのだ。
故に、口にすれば笑われそうな話だが
目の前の炬燵が本物かどうか、疑心を抱いている。]
(157) 2016/12/26(Mon) 23時半頃