[一通り読み上げた監視員は、もういいか?と問う。]
え、あ、途中から聞いてない……
[予想通りの返答に監視員は、わからないところがあったら聞いていいから自分で読めと資料を投げた。基本的に素直な生き物である青年は、楽しげに頁をめくり始めた。
ぱらり、ぱらり。その手がある頁で止まる。じっと見つめ、何度も何度も文字をなぞる。]
……この人も。
[No.07 セオドア・ブラッドベリ。彼の境遇と、助けられた自分の境遇が重なった。自分にとって「あにき」が救世主だったように、彼も妹の救世主なのだろうか?]
せっかく生き残ったのに。
[じわり、と体内に薬が滲む。芽生えかけた悲しい気持ちは、次の瞬間押し流される。]
えーっとこれはー? すごい、お姫様なの!?
[幸福な青年はでたらめに頁をめくってはまたはしゃいだ。**]
(156) 2012/04/08(Sun) 03時頃