――試験中――
[ とりあえず、普通の調子で自分の答案を仕上げることができた。あとは名前を書いて…。
という思惑は、モアイ先生の簡単な一言で、打ち砕かれてしまう。]
(モアイ)
よーし、この試験は進路の参考にするからな。お互いの答案を見ないよう、俺が直接回収します。裏返して待つように。
…なんだガモウ、自分の名前書き間違えるやつがあるか。ここは、ニスイじゃなくてサンズイだろう。
皆も自分の名前を間違えないようにな。念のため確認しておきなさい。本番でそれやったら一発アウトだぞー。
[ 意味を理解すると、冷たい汗が額からダラダラ出てきた。頭がどうにかなりそうだ。
とりあえずはっきりしていることは、今のこの、曙星黒江と署名してある答案用紙では、ちょっと顔も思い出せないガモウくんの二の舞になるってこと。
大和くんの方角に助けを求めても、斜め前の他の塾生の背中しか見えない。今、スマホで連絡とったら…。失格だろうなあ。
やむにやまれず署名を消して、書き慣れない名前に置き換えた。
ごめん大和くん。こうなるならもっと慎重に解けばよかった――
]
(155) 2018/08/28(Tue) 00時半頃