ほう、お客人、手妻に詳しいね。――うん、ご名答。
でもねえ、芸の楽しみ方としては無粋、かな?
いやいや、冗談。それもまた一興ってね。
[懐からは27cm程の長さの煙管を取り出し、刻み煙草を雁首へと落としマッチでゆるやかに着火して。羅宇を逆手に持ちひとくち紫煙を吸い込む。立ち上る紫煙に視線を向けながら]
さて、――君は“お買い物”に興味があるんだったね?
タネを見破った賞品にサービスしておくよ、
ああ、ただし身分確認はさせてもらうけれどねえ、
[何でもござれ、とでも言いたげに口の端を吊り上げて笑む。彼が“買い物”をしたいというようであれば今日の商品を教えるだろうし、何か聞きたいことでもあるのであれば出来る限り答えよう、と考える。会ったばかりの人間に何故副業のことを条件付きとはいえ明かそうとしていたかは特に理由なんて無く、強いて言うのであれば「ただ単に気が向いた」だけ。――いや、もしかしたら直感とはいえ他者とは違う何かを感じた青年に少なからず興味を抱いたのかもしれない。]
(154) 2014/12/05(Fri) 04時頃