────今────
[男は、遥か昔の夢を見ていた。
リゼットとララを"美しく"した際の夢。
ララは、生きていれば今は社交界へと足を運ぶ年齢だろうか?
美しい人形となった彼女は、もう何も語ることはない。本当に、本当に愛おしい娘。
ああ、あれほどまで器量が良く、愛らしい顔をする少女など、世界で彼女だけだ、と男は賞賛していた。
……さて。それも全て夢の中の話。
現実の男は、たった今別の美しい人形の手でその目玉をくり抜かれ、飲み込まれ、まさに今、腹を捌かれんとしているのだから。(>>148>*28>*29>>149 サクラコ)
意識を失ってからどれほどが経っていただろうか?
きっと彼女は、眼球を呑み込むことに必死で、──────肩口の傷が塞がりつつあることに、気づかなかったのだろう。いや、そもそも予想をしてなければ気づくのは難しいか。
傷ついた右の眼球も、その血で赤く染まってはいたが……きっと傷は塞がりつつある。]
(153) 2016/02/27(Sat) 04時頃