―廊下―
月なきみ空に きらめく光……
嗚呼その星影 希望のすがた……
[囁きのように小さい、神を賛美する歌が朗々と続く。
これから起こることを考えると楽しくて、つい歌いたくなった――わけではない。無論、神の名を讃えるつもりもない。もっと現実的な理由だ。障害とってもいい。]
人智は果てなし 無窮の遠に……
いざその星影 きわめも行かん……
[加護を得るには「声に出して祈る」という予備動作がいるのだ。だからこうして、いつでも攻撃できるように。自分なりの臨戦態勢だった。
あらかじめ銀の靴にも合図を送って、狩りの準備を万全の状態にしておこうかとも思ったが、ペラジーの同族が誰だかわからない以上はやめておいた――
悲しい話だが、弱い自分の心はいとも簡単に解放された靴の魔力に飲まれてしまうのだ。やりすぎてしまわないとも言い切れない。滅多なことは避けたかった。]
(相手が吸血鬼かどうか、確認しておきたいが……)
[廊下の先に、人影があった。ふたつだ。(>>139>>142)]
(152) 2014/11/12(Wed) 10時頃