[有難い提案>>142には、だが、眉を寄せて暫し悩んだ。
彼女の表情に浮かぶ決意の色を見て取ると、腕の中でぐったりしているタバサをアイリスの方へ放るように寄越して。]
頼むよ。……だが、こいつはヒトじゃない。
[見れば解るだろうがね、と赤銅色の耳と尻尾へ顎をしゃくった。]
蜘蛛の代わりにこいつに喰われるなんてことがないように。
まあ、七割がた大丈夫だとは思うが――、
万一のときは、決して情けをかけるなよ。
[残りの三割は、保証しかねる。
魔物に心を許してはならない――冷徹にも聞こえるだろうその言葉は、これまで生き抜いてくる中で学んだ教訓でもあった。
女郎蜘蛛が他に気を取られている>>148のを盗み見て、星を模った装身具――母の形見のアミュレットだ――を外すと、タバサの手ににぎらせるようにした。]
これが、多少は気配を消してくれるはずだ。
なるべく動かなければ、蜘蛛の奴も気づくまいよ。
(152) 2012/10/21(Sun) 16時頃