――/ 幕間:這い寄る蔦亭 /――>>36
こんばんは、コリーン。グリューワインを、一杯だけ。下さいな。
[気安い調子でそう頼んで、青年が向かった方を見やる。]
今のは、旅の人?
教会にも一人、来てたけど……コリーンは見てないよね、きっと。
[ドナルドと名乗った隻眼の男性の事を話しつつ、飲み物を用意する店主の姿を目で追った。少しして、くすりと可笑しそうな声をローズマリーは上げた。]
……どうしたの、コリーン。なんだかそわそわして。
そんなにわたしが見てるの、気になる? いつもなら、じいっと見てても何にも言わないのに。コリーンの胸とか、お尻とか。
[赤みを帯びた彼女の顔から、胸元へ視線を移す。ローズマリーと同じかそれ以上に量感のある、豊かな膨らみ。また視線をコリーンの顔に戻して、小さく笑った。]
ふふ。今晩は満月だものね。いま何かあっても、聞くのは後にしておくわ。
わたしもこの後、行く先があることだし。
[その頃にはグリューワインが供されていたろうか。甘く華やかな香りを楽しみつつ、酒場の雰囲気をしばし味わった。]
(152) 2016/12/08(Thu) 13時頃