―回想:201X年9月・音楽室―
[思わぬ人物の到来>>147 >>148を受けたのも、彼がいつものごとく、何かから逃げるようにピアノに向かっていた時>>151のことだった。
周りが全く見えていなかったゆえ、流石に背筋が伸びる。]
……あれ……ああ、芙蓉か。
……これはみっともないところを見せてしまったかな。
[その時弾いていたのはショパンの『子犬のワルツ』。
――腕がこの曲を選んだということは、自分は今は動きたいと思っているのだろうな――という自分の評価は胸に秘めて。
今の自分にはまだまだ、この曲の持つ全てを表現しきれていないという確信があったゆえ、彼の評価には苦笑して。]
ありがとう、でもまだまだだ。
この曲はきっと本当はもっと綺麗で、楽しい曲のはずなんだ……
3歳の頃からかな。最初は父が教えてくれていてね。
[苦笑を自然に柔らかな笑みに移しつつ、さらに問われるなら自分のピアノ歴を話し始める。
たまにリクエストをくれる彼のことを迷惑だと思ったことは一度もない。とは言え、レッスンを優先させるために断ってしまうことも多くて、少し申し訳無さを感じてもいたのだが]
(152) 2015/03/29(Sun) 22時半頃