[小さな身体の中に在って、その小さな手はかつて魔を滅ぼそうと訓練を重ねてきた証で少し皮が厚くなっている。
「ケイイチ」が今元に戻ったら、このまま握りつぶされてしまうのだろうか。
少しだけ、この状況で「ジン」を離れさせることを考えるが、今は止めておこう。
扉の外に他の気配もあることだし。>>126>>127
意識は其方にも分散させつつ、本来の主では持ちえない筈の手技を披露する配下の手の動きに熱い吐息を漏らした。>>134]
ん、 そう、 ハハッ、 ――上手だよ、
[吸い過ぎてまるで熟したフルーツのようになっている唇を更に吸って充血させる。
口元だけではなく下からも水音が響くようになり、湿った布が床に落ちれば主の訪問に気づいて部屋に集まって来た無数の触手が群がってキューキューと耳障りなはしゃぎ声をあげた。
替えの下着は生憎と持ち合わせていない。
誰かの粗末な布を追いはぎするかフルチンで移動しないといけない。
ほんの少しの苛立ちが藤之助の足を持ち上げて――振り下ろされた先で哀れな触手の何本かが甘い臭気を撒き散らしながら破裂した。]
(149) 2018/02/28(Wed) 22時半頃