悲しんでやる、泣いてやる。お前さんがもしも、消えたらな。
だから、約束は守るんだ……いい子にするんだろう?
[煙草を手に取り、また息を吐き。今度は坊主の方を見下ろしながら言ってやれば、坊主はどんな顔をしただろう。
この靴の下に広がる無数の砂達。隣に歩く坊主が、その砂粒のひとつになるだなんて。
泣きもせず、笑いもせず。我儘も言わん坊主なんざ今以上に御免だと。
例え、そうすれば触れられる事になろうとも。手の指の間から零れ落ちる砂になんざ、触れても何も楽しくない。]
二度とそんな馬鹿な事は聞くな、そういう質問をする奴は好かん。
少し考えりゃ分かるだろう、えぇ?
[忌々しそうな口振りで、そう吐き捨てて。誰かに死を連想させる問いを掛けられるのは、どうにも好かんものだから。
仕事上、そんな話を聞かされる事もあるけれど。何が悲しくて、教会の外でまでそんな事を聞かれんとならんのだと。
ゆっくり、ゆっくり。遊歩道の木々の間を歩きつつ。行こうと思えば直ぐにでも抜けれはするのだが、わざと回り道をする理由をこの坊主は気付くだろうか。]
(149) 2015/04/12(Sun) 06時半頃