― 薬局内部 ―
ひゃああー、なっつかしーい!
[社会科見学に来た子供のようにきらきらとした瞳で室内を隅々と散策する。薬品の数々を手にとってみたり、白衣を着てみたり、とやりたい放題に。「誰にも迷惑掛けてないし」は誰かに怒られた時にとっておきの反撃になるに違いない。]
――……?
あら、お客さん?
[入口からの声>>114が微かに耳に入り、棚を漁るのを止めて棚の上からひょっこりと顔を出す。お客さんの顔なんて確認せずに「処方箋をお出しくださーい」なんて口走ったのは長らく染み付いた癖のせいか。]
って、雫玖くんだー。やっほ、やっほー。
久しぶりーい!
[カウンターへと駆け寄ってようやく声の主が誰なのか気付いて腕をぶんぶん。一瞬だけ――過去にスリップした錯覚に陥る程懐かしい光景。もっとも相手からしたら急に居なくなった知り合いが突然現れて着物の上から白衣を来て、さらに辞めたはずの職場を物色しているのだから異様な光景でしか無いんだろうけれど。]
(149) 2014/12/07(Sun) 01時頃