― 束の間の思考 ―[昔から、本は好きだった。とはいえ両の指で数えられる頃は本の虫でもなくて、休み時間はグラウンドで駆け回っていた時間の方が長かった。そんな日常が変わったのは、二桁になった夏のこと。登っていた樹から落っこちて、半年間の入院を余儀なくされた。両足が素敵なことになってからは暇潰しにと本を読み漁って、将来は司書になるのも悪くないかな、と思ったのはそれが最初。ちなみに樹に登ってた理由は落下の衝撃で吹っ飛んだらしく、朧気に覚えているのは、何かを掴もうとしたことだけ。落ちた時に枝が掠った傷は左耳のすぐ後ろに残っていて、少しでもずれていたら、医者曰く死んでたそうな。恐ろしや。]
(149) 2015/11/18(Wed) 21時半頃