[扉を開けて、教会の外へと歩き出し。広場の喧騒は、少しは収まっていたろうか。
鎖の揺れる音も、時折腿に当たる感触も――組まれた、腕も。咎める事はせずに、足を進めていく。
それにしても、この坊主は今日は妙にゆっくりと歩こうとしやがる。大方時間稼ぎのつもりなんだろうが、と肩を竦めて、少し歩調を早めてやるも――どうやら、譲る気は無いらしいから、今回はこっちが負けておくか。]
…………。
[引かれる腕に従い、肩に擦り寄る頭を見下ろす。小さく呟かれた問いには、やはり直ぐには答えずに。
あぁ、やっぱり。思った通りだ。この坊主、何かあれば……下手をすれば、触れて来るんじゃあないだろうか。
渦巻いていた懸念は、確信へと変わる。消えさせん為に約束なんぞを取り付けたのに、それすらも意味が無くなってしまいそうだと。]
(147) 2015/04/12(Sun) 06時半頃