[傍にまで辿り着けば、鼻がくすぐったくなる感覚が降りかかる
それは置かれたピアノの年季を感じさせるから、不快感はない。
柔らかく細めた目をモリスからピアノへと転じる]
グランドピアノ、実物を見るのは初めて。
家にあるのは小さいのだから。
モーリィは見た事ある?
[緩やかに声を紡ぎながら、白鍵に手を伸ばす。
触れるか否かの距離で、撫でるように空中をたゆたう指先。
音は、奏でられない。
笑みを象っていた口元を引き結び、触れようとして――不意に、我に返ったように瞬いた]
……いけない、本題を忘れるところだった。
モーリィ、まだ、落ち着かない?
謝らないと落ち着かないなら、謝ってもらわないとだよね!
[ぱっと手を引き、視線を上げてモリスの顔を見る。
心配の色合いを含んだのは最初だけ。楽しみを見つけたかのように語尾は弾み、相手の様子を*窺っている*]
(146) Sol・la 2012/08/02(Thu) 00時頃