[ノストの首を掻き切ろうと伸ばした黒い爪。
空を裂きながら、不死者の王の喉元を狙い定めていき、あと数センチで捉えられる、そう思った。
乾いた音と共に、腕があっさりと捉えられる>>126。
何も構えなどなく、さり気なく、でも完膚無いぐらいに的確に腕を掴んでいて。]
――――……っ!?
[ノストの顔から、黄金の月と空へと視界が変わり、身体がふわりと浮いた感じがする。
身体が強制的に大地と繋ぎ止められてしまえば、戒めを解こうとしてもがくが、鉄で拘束されてる様に、固く締まっていて解けない。]
くっそ、……っ、がっ。
[無様に貼り付けにされた犬は、比較的に自由が利く首を動かし、犬歯を向けながら睨む事しか出来ない。
すると、匂いが、纏う空気ががらりと変わり、威圧的な低い声が響く>>129。
あまりの圧倒的な差に、覆せない強者と弱者の差に、無力な駄犬は声を出す事が出来なかった。]
(145) 2015/07/31(Fri) 00時頃