―回想・放課後の礼拝堂―
[チャールズ>>138の問いには、首を横に振った。
身体の疾患はどこにもない。残念ながら、と。]
"汝、殺す無かれ"
[旧約聖書の一説を口にして、男は自分の過去を語る。
両親と共に乗った馬車、崩れた崖、自身を庇って死んだ二人。
自分より信心深い二人が死んだのは、間違いなく自分のせいであると。
自分が、彼らを殺したのであると。]
聖アウグスティヌス様は、自死もまた、
人間を殺すことと同義だとおっしゃられました。
では罪人は、生き続けて償うことしかできないのでしょうか。
[腕に添えられた手のひらは暖かく、冷えてしまった自身の腕に体温を分けるようだった。
信じたくない心と染み込んだ習慣が混ざり合って、どちらを選べばいいのか分からなくなった。
呪の痕だと言われ続けた手首の痣へ引っ掻くように爪を立て、瞳を揺らす。]
(143) 2014/06/24(Tue) 02時頃