―過去の回想―
[鍛錬場に着いた時には既に一人の生徒らしき少女が練習中だった。]
見覚えがあるな…確かオスカーの…という事は、向こうも僕の名前を知っている可能性もあるな。
[なんなら、自分の道化っぷりもよく知っているだろう。
オスカーは自分の好きな物は必要以上に自慢するという悪癖がある。
もっとも、彼女の事は正しく自慢だったが、自分のは基本的にバカにしている事がメインだ。
せめて真面目に訓練をしたかった以上、自分の事を知らない人間でいて欲しかった。]
まあ、贅沢を言っても始まらないか。
最初の印象さえ間違えなければ、訓練自体は真面目にやっても大丈夫だろう。
[先ほどまで父親への報告やユリと話していたせいもあり、道化に戻すのに少しだけ手間取る。
だから、声を掛けられた時の反応は、相応にして誤った。]
(142) りおん 2015/05/05(Tue) 22時頃