―正午・教室―
[就業のチャイムが鳴ると同時に、教室の中は生徒たちの話し声でたちまち賑やかになる。
教科書を閉じて、小さく伸びをして、しかしグロリアはすぐに立ち上がろうとはしなかった。食堂まで続く混雑に乗じる気にはなれなくて、少し待ってから向かおうと思ったのだ。]
……慣れた。そうかもしれませんわね。
[朝、ヴェスが投げてきた質問>>134が、不意に蘇る。
何か言ったかと聞き直したらはぐらかされてしまったけれど、気遣ってくれたことは伝わった。
入学式での険悪なムードから5年、今では毎日一緒に行動するグループの一人。正直、ここまで関係を修復できるなんて思ってもみなかった。
人影が少なくなってきた教室を、ぐるりと見渡す。まだヴェスや、レイブンクローの友人たちは室内にいたか。彼らの姿を見つけたなら、昼食はどうします?と声を掛けるだろう。]
(142) 2014/08/29(Fri) 00時頃