[どれくらいの時間、座り込んでいたのだろうか。ふと、空き地の方から声が聞こえ、意識を引きもどされた]
――…おしの?
[思い浮かぶは昨日の講義と、その時彼女が見せた笑顔。
縁側に出て下駄をつっかけると、中庭に出て裏木戸を開ける]
……おや、勝丸だったか。こんにちは。
おしの先生なら今日はたぶん来られんぞ。怖いお偉方から、役員にされてしまったからな。
[それから今朝団十郎にしたのと同じように、長老の様子をおどろげたっぷりに話してみたのだが。多少の抑えにでもなるかと思ったが、さっぱり効き目はないらしい。あっさり話を変えられてしまい]
ん、あぁ、何か奇妙な設計図であったよ。研究のうちに拾ったのかなんなのか、ああいう図面は彼の専門ではなかろうし、僕に見解を求めにきたようだった。
[自分が直接応対したわけではないので、一平太からの報告を思い出しながら]
あぁ、なんでも、「星まで届く、空飛ぶ船」だそうだよ。
(141) 2011/08/17(Wed) 22時頃