いってぇ…。
おい、お前 大丈――… んだ、これ?
[強かにぶつけた後頭部を擦りつつ、上半身を起こして
俺の上に乗っかる、同年代くらいの男の顔を覗き込む。
無事かと安否を訊ねようとしたその視界が捉えたのは、
周囲に散らばる本、本、本。 肌色成分が多い本だった。
ああ、コイツと一緒に落ちてきたのか と察して
拾おうかと伸ばした手は、彼の素早い行動と悲鳴で遮られて何も掴めなかった。
そのまま荷物を拾い集め、逃げるように走り去った彼。
「礼も無しかよ」と憤りを感じた俺は、立ち上がってから
ぽつんと一つだけ残された漫画に気が付いた。
このままここに置いておく訳にはいかないだろう。
しかし、持って帰るのも如何なものか…。 そう迷って、数十秒。
何なら交番に届けるのも手かとソレを拾って
その表紙に、言いようのない違和感を感じた。]
(140) 2015/07/05(Sun) 03時頃