あむ、んく、んく、…ぺちゅ、
[するり。舌からのどへ、のどからむねへ、そこから体のあっちこっちにま力が行く。
飛んで行った光の粒が戻ってきて、ひじから先、ひざから先を作っていく。
ちゅ、ちゅと小さな口で吸いついてたけど、もっと一度にたくさんほしいから、舌でぺろぺろした。]
"リ、リリ、…リ、"
[千切れかけていた翅の根元の皮が戻って、背中にくっつく。うれしくて震わせたら、ぎこちないけど、ちゃんときれいな音が出た。
指先のお水はほとんどなめてしまったので、生えてきた両手で指に抱きついて、血でぬめぬめする体をひっつき、爪のすきまや甘皮に舌をもぐりこませる。]
おいしい、おいしい、ママ、ありがとう、
[どんな顔をしたのか、どんな反応をしたのか。見ることはできない。その目は二つとも固く閉ざされたまま。
全身を使って、足りない物を求めて指を舐め、吸い続けた。*]
(139) 2015/07/31(Fri) 00時頃