―リハビリ室―
さてと。次の予約は……。
[カルテを手に取り、予定を確認する。
すらりとした足を組み惜しげもなく晒し、他のリハビリ客の視線を集めているも、全く気にする様子はない。時折足を組みなおしては、遠くで眺める中年の反応を楽しんですらいた。]
これね。ヨアヒム・ランバート。
……35?
[写真から伺うよりも随分若い年齢に軽く目を丸くする。
詳細なカルテを追い、膝の炎症の原因は肥満だと知ればやれやれと肩をすくめ、これはリハビリなんか先にダイエットが必要じゃない、と近くの療法士たちの笑いを誘う。
カルテの片隅の付箋には、誰が付けたのか「セクハラに注意!」書かれた付箋も貼ってあるだろうか。
時間が来れば看護師に車椅子を押されて、男がやってくるだろう。]
ヨアヒムさんですね?
今日からあなたのリハビリ担当になった、ゲイル・ロシェットです。よろしく。
[椅子から立ち上がると、隙のない営業スマイルを見せた。]
(138) 2010/03/03(Wed) 23時頃