……嗚呼、きっと寂しい思いをさせているね。リゼット、ララ。…帰ったらたくさん抱き締めてあげよう。
[その名前をじっと見つめて。それから名残惜しく感じながらもその頁をめくる。
…嗚呼、やはりこちらにも写真はあったようだ。こんな肖像、撮った覚えなど男には全くなかったが────まあいい。
その写真を剥がすと、綺麗に四つ折りにして胸ポケットへとしまう。それから、適当に他の本を取り出し……その写真を剥がし、自らの資料に付けた。
…張りぼてではあるが、少しの猫騙しにはなるだろう。
先程、資料を見て『この罪人が一番重い罪なのでは!』と言い出すサクラコを思えば──────他人から見て、どの行いが罪に見えるかなど、わからぬ。それならば隠せばいいだけのこと。
さて目的を終えて仕舞えば、最後にもう一度妻子の名前を見つめてから本を棚へと戻しただろう。
…あと手に残るのは、ジェフという男のファイルのみ。それを手にしたまま、ふらりとその部屋を探索してみようか。]**
(138) 2016/02/25(Thu) 03時半頃