―再び・船上―
[ようやく彼女の姿を見れた事に安堵して、ただ、一瞬、悲しそうな色を瞳に宿した。
それは彼女が口を開いた時と全く同じタイミング。
この耳で、彼女からの返答を聞ける事は一生無いと悟ったからだ。]
僕も、まさか生きてあの島を出れるとは思っていなかったからな。
少なくとも、あの島に着いた時くらいだったな。
ごく普通に帰れると思っていたのは…。
[揺れる船体に合わせて、バランスを取るのが難しそうな彼女の身体をさり気なく支えながら、少しだけ考えて。]
勇者の事は考えていたけど…どっちかっていうと、これからどうするかって事の方が主だな。
…僕は、…オスカーがあの世で自慢できる友人になりたいと思っているんだ。
[変わらず彼女の口元と瞳を見つめながら、必死に彼女の言葉を漏らさぬように探りながら。]
(137) りおん 2015/05/05(Tue) 22時頃