喫茶店なんて、いつぶりかな……[歩く合間に、独り言とも投げ掛けとも取れない曖昧な言葉を一つ落す。早瀬のレッスンが無い日、本当に偶に、帰りに喫茶店に寄っていた事を彼はまだ覚えていただろうか。誰も居ない家に帰るのがどうしても嫌な時、ちょっと彼に強請っての通学路から少しだけ外れる道草。邦楽ではなく、古い洋楽ばかりかける喫茶店。早瀬と疎遠になってからは独りで行く気にもなれず、かといって誰かを誘う事もしなかった。覚えてる?と聞くように、彼を見上げて首を傾げる。]
(136) shiraha 2015/04/12(Sun) 23時頃