(『それとは別に』 逃げても構わない、とも告げていたが、 わざわざそれを再び言葉にすることも、なかった。)[苛立たしげにも足を置き直す。けれど、彼はヒロイックに酔うつもりもなかった。”共に”(滅ぶことも、逃げることも、退けることも──)とも自ら口にすることもなかった。(まだ腕を掴まれ、それを試みられたわけでもないのに、)”逃される者”として悟ったことへの拒絶の証であるかのように、夕焼けの空が時の移ろいを見せるように深く、そして、昏く─────沈み始めていた。]
(136) 2018/10/13(Sat) 02時半頃