[大人しそうな青年は、第一印象から変わらず、礼儀正しい礼を告げた。>>127
彼を支え直して、腕を下ろすと、彼の眼差しに示すよう、ひょいと革靴の先を持ち上げて見せる。]
生きている、足はある。
[大広間に彼が居たのも、ハープを奏でていたのも理解していたが、自身の末を何処まで見ているかは知らなかった。
流石に死んだと思われては居なかっただろうが、冗句のように告げてみせる事で、彼の緊張を労わる。]
【黒夜】か―――、月の無い夜では在るまいし。
身内の面倒事に巻き込まれないようにしたいものだな。
[彼が聞いた言葉も己も聴覚で拾う。
夜が明けないだけなら未だしも、挙句、暗殺騒動とは難儀なことだと息を漏らす。
己よりもずっと面倒事に巻き込まれそうな相手が、全く別のことに気をやっているとは知らぬまま。
仮にそれに気付けば、寧ろその爛漫さに胡乱な眼差しを作ったかもしれない。]
(136) 2014/01/28(Tue) 00時頃