[ 名を呼ばれただけで背筋が凍る経験はオーレリアにはなかった。つい、今しがたまでは。>>129]
………っ
[ 困惑の色を浮かべた表情から紡ぎ出される声音。
それなのに、心配の二文字として導き出されない。
肩に伸ばしかけられたセシルの手を見る。ピアニストとして普段繊細に鍵盤を弾いているだろう指先。]
(彼はほんの少し似ているね
僕のようにならなければいい)
ごめんなさい・・・あなたから見える色に
覚えがあったものだから
[ 少し表情が強張ってしまった事を謝罪した。それはセシルに届いただろうか?すぐにジェフの元へと身を翻し久しぶりだと挨拶している。そこから聞こえた言葉には驚きの色を浮かべてしまった。]
(キス……あの絵に?)
[ そのまま2人は応接間を立ち去ってしまった。
まだ気分は優れないものの、空気の色が少し変わった気がして、溜め息をそっと吐き出した。*]
(136) 2016/07/27(Wed) 21時頃