―船から降りた後の話―
[船から降りる頃には今後の方針は大体決まっていた。
問題は父になんと話して、どう許しを乞うかという話。
父が王を陰ながら支えたように、自分は勇者を陰ながら支えると信じて疑わなかったのだ。
きっと面倒な事になるだろうとは考えながらも、それでもいいと思っていた。
そんなタイミングで自分の目前に現れたドナルドを見て不思議そうな表情を浮かべた。]
友人や仲間を助けるのに君には理由がいるのかい?
少なくとも、君の力は将来的に魔王を討伐するのに役に立つはずだしね。
僕は僕に出来ることをしたに過ぎない。ただそれだけだ。
[そう言って笑いながら彼の胸に拳を当てる。]
償いを、と言うのなら、君はこの学校で勇者の称号を取るといい。
僕の仲間として魔王を倒すなら、その程度の称号は持っていてくれないと、世界は救えないだろうからな。
それ以外に僕が求める物は何一つないよ。
[そう言ってそのまま彼の横を通り過ぎて手を振った。
それは、フィリップ・アルデーヌが学校を辞める1週間前の話。**]
(135) りおん 2015/05/05(Tue) 21時半頃