――出発前>>107――
そう。すごいね。
よろしく、ケイ。
[魔窟に乗り込もうと言うにはいささかはしゃいだ様子の後輩に笑いかける。
反面こちらはといえば、言葉尻だけなら無愛想で無関心と取られてもおかしくない口振りだったが、後輩はそうは捉えなかったようだ。
手招きに応じるなら、柔いくせ毛の髪に触れ、それこそ犬猫のようによしよしとあやしてやる。
基本的に、コミュニケーションにおいては口より手を――触れる温度を重視する。
言葉は簡単に偽れるが、生理反応は難しい。
……という建前の元、口を開くのを面倒がっているだけなのだけれど。]
頼りにしてるよ。
[この隊に入りたいってしつこいんですよ、と配置スタッフが独り言のように零していたのを聞いている。
僕はいいけど、と言ったのが鶴の一声になったかは知らないが、音を聞く能力は自分の不足を補うのに悪くないと思ったのは本当だ。
指一本触れさせない、のが彼の能力によるものかは別として、頼りにはしている。]
(135) 2018/02/20(Tue) 20時半頃