―城→遊戯室―
[普段より活気がなく、重苦しいものを内包した空気を揺蕩わせる城内を、普段よりも力が入らない脚で歩く。
そこかしこに、人が居る気配はなくもないけれど、プライベートスペースにいるであろう彼らのところに、何の用事もないのに押し入るわけにもいかず。
それで、みたくないものを見てもイヤだしね。
反逆者の密談も、仮初の愛の語らいも、みたくはない。
後者は眼のやり場に困るから、前者は……仲間が仲間に牙を剥こうとしているのを見たくないからだろうか。
自分たちは、薄氷を踏むような関係だったのか。
それを考えると、少し寂しい。
脚は、遊戯室へと向いていた。かつて仲間何人か、あの時はプレイできる褒賞も居たかもしれない、でプレイしたビリヤード台を撫でる。そこにあったキューを持って、コンと手球を突けば、少し曲がって、的球に当たる。]
あの時の優勝者は誰だっけ?
[ああ、その記憶すら今は遠い。]
(132) 2014/02/02(Sun) 23時頃