―廊下―
[先ほど見た不思議な光景>>@55を思い出す。
意図的に飛べないと言っていたが、訓練次第で操作出来たりしないものだろうか…そんな事が出来たらどんなに
『人探しが楽になる事だろう』
そんな言葉が脳裏をよぎって、ふと立ち止まる。
苦痛なんかじゃないわ。あの子を探す事は苦痛なんかじゃない…ただ、少し――]
…ん?私のキャリーだ。
[廊下の端に自分のキャリーが置かれているのを見つけた。ぼんやりと歩いているうちに客室エリアに来ていたらしい。ドアがこんなに等間隔で並んでいる区画はそれ以外に考えられなかった。
…はキャリーが置かれたドアの前へ進む。
この部屋を使えという事だろう。特に使用人から言われたわけではないが、この程度で呼ぶのも煩わしい。勝手に使わせてもらおう。
思考が客室へ逸れたおかげで…の思考から、先ほど出かかっていた言葉は忘れ去られた。それは無意識下で自分の心を守る行動だった。
『あの子が生きているという希望を見失いそうになる』
など口にしてしまえば、きっと…は自分自身を許せないだろうから]
(132) 2014/11/01(Sat) 22時頃