―夜/食堂『森の真珠』―
>>122
(ゆっくりと考えるカリュクスの仕草、瞳の動き、ほんの少しの…迷い。僅かな表情から感じ取れるそれを、彼は観察していた。純粋に、彼女がどう考えているのか。…これは昔からの癖だ。誰かに提案する時、顔色を窺わずにはいられない。わずかな揺らぎ、それずらも見逃せない。――"観察"。こう思えば、昔の経験も少しは悪くなかったのかもしれない。
確かに昼間の教会、もとい対策本部の薬に対する反応は異常ともいえるほどの食い付きだった。それをどこに使うのかは別として、新たな信仰の対象にでもするつもりだったのかもしれない。
大丈夫。こう告げる時の彼女は…表情が揺れる。ほんの少しだけ、頬の筋肉が強張って。――ああ、また何か無理をしている。そう受け取れてしまうのは、少しでも彼女といた季節があった役得だった。だから。)
――実はね。今日の昼間、対策本部に行ってきたんだよ。薬の製法やら残りがあるのやら凄くうるさく聞かれた。勿論君の力を借りた事は一言も言っていないし、調合レシピも破棄してる。…といっても、渡したところで彼らに作れる代物じゃない。となると、彼らは僕を追うしかない訳だ。
(131) myumyu 2017/08/24(Thu) 09時半頃