[────冗談では無い。
確かに人を殺めた、それは認めよう。
然し、自分は先の資料の男程の相手に手をかけては居ない。
何より、欲のままに人体を保存などはして居ない。特効薬と聞かねば誰が人肉など喰らうものか。
それも、親に蔑ろにされていた子供たちばかりだ。
そんな庶民の子供たちよりも余程自分の人生の方が、火浦の家の方が大事に決まっているのだ。
だから、自分の資料が見られた所で────。
寧ろ、改竄して疑心暗鬼に陥られた方が大事になってしまうだろう。
そう思い至れば、女は早められていた歩みを止めて本棚に向き合う。
そして、一冊一冊、ぱらりぱらりと頁を手繰りその中の顔写真を確認しては本棚に戻し、新たな資料を手にしていく。
あの場に集まった、他の者の資料に目を通す方が先だろう。
暫しそうして、資料を順に確認していく姿がその場にあった。
未だ、新たな来訪者に気付くことが無いままに*]**
(131) 2016/02/25(Thu) 00時半頃