―エリュシオン―
[意識は再び光ある場所へと辿り着き、ゆっくりと身を起こす。
あれからどれほどの時が流れただろうか。幸いにして、無防備に倒れているところを襲われたりはしなかったらしい。
痛みは残っているし、さらに同じ姿勢で長時間倒れていたせいで痺れもある。おまけにまだ《天使の力》は回復しきってはいない。
万全とは言い難い状況だが、それでも動くことはできそうだ]
……知恵、か。
[先程までの夢で、その言葉だけは記憶に残っていた]
ワタシに上手く使えるかはわからぬが、多少は試してみるべきか。
せっかく『ある』からにはな。
[例えば……雷。
集束させて剣を生むだけではなく、そのまま放つ。
牽制程度の威力にしかならないだろうが、その牽制が時に非常に有効な一手になることは、先の鬼や吸血鬼との戦いが証明している]
試してみるべきか。
[少しずつ、天使の中で何かが変わろうとしていた*]
(130) 2015/09/19(Sat) 19時半頃