―いつかの煉獄―
――いいのかい、魔界の王様。
"それ"を埋め込めば、確かにきみは、この戦いを収められるよ。
[暗く赤い地の底で。奪われた霊具から顕現した少年は、獄焔を纏う魔界の王の前に立つ]
だけどね、王様。その前に、ひとつだけ忠告しておくよ。
"それ"は、おもん姐さんが言ってた>>103ほどには、良いとこ尽くめのものでもない。
[たぶん、知らなかったんだろうけど――と、一度、首を傾げて]
んと――争いの火種ってなんだと思う、王様。
うん、まあ、敵意、害意、殺意――そういうものも大事だよ。
でも、戦いっていうのはさ……まず、"欲"がないと生まれない。
名誉欲、権力欲、金銭欲、食欲に性欲――皆が何かを求めて、その"欲"が衝突するから、争いになる。
――この霊具は、言ってしまえばさ。そういう私欲我欲を"洗い流す"ものだ。
[だから、争いの火種を鎮める――そういうこと]
(130) 2015/06/10(Wed) 21時頃