[相手の言葉には吐き気がする。
確かに人形の様だ、と形容される事もある。若く美しい自分ならば当然の事。
だが、自分はただ黙って座っているだけの人形ではないのだ。
自分の意思で立ち、自分の意思で全てを決めることが出来る強き者なのだ。
兄の病があったからこそ不遇を強いられてはいるが、見てみろ、兄を蝕む病はそれ以上深刻にはならず、己の身にも降り掛からぬではないか。
それは、娘が特効薬を手にする強い意思があったからだと娘は自賛する。
特効薬があると知りながらそれを隠し処方しない医者には用は無い。
非人道的?ならば、死刑囚の人肉でも喰わせれば良いのに、それを特効薬とせず人道の一言で火浦を切り捨てる臆病な愚か者には用は無いのだ。
ならば、自分自身でそれを得るのみ。
この目の前の男とは、人を人として見ていない点は似ていたかもしれない。
だが、それは似て非なるもの。
娘は美しさは求めない。
血を保つ事、強き者が強き者であり続ける事を望むばかり]
(130) 2016/02/26(Fri) 23時半頃