―201X年3月22日・PM17:30過ぎ・脇道の公園―
[不意に触れた唇へと、それよりもずっと熱い耳朶の温度を伝えて。
鼓膜ごと震わせる囁きに、身体の芯を揺さぶられるような想いがした。
あの時彼の腕の中で聞いた吐息も声も、まだ三半規管の中へと住み着いているような気がする。
強まる腕の中、少し身動いで、でも離れるつもりもなく、むずかるように彼の肩へと顔を押し付けた]
……えっと、どこまで…じゃなくてっ、…あの、言わなくていい、…………なんかもう死にたい…。
[場違いな欲情を逃せないままに揺らぐ瞳は、惑っては彼の笑みから逸れた。
知らない間に暴かれていたみたいな感覚。
見透かされているようにも思えて、やはり真っ直ぐには彼の顔を見返す事はできないまま、それでも家族の話に控えめな視線を向けた]
(129) nanono 2015/04/12(Sun) 15時半頃