―回想・甘ちゃん飴ちゃん―
[確かそれは、初めて戦場に同行させてもらった時だったか。>>126
神影さんの邪魔を絶対にしないという条件付きでの見学。けれどそこは、猛者が集う修羅の場だった。
今まで彼から受けていた訓練も血を吐くような厳しさだったが、それでもまだ手加減されていたことを思い知った。
その迫力に圧倒され、邪魔……ではなく加勢をしたくともできずに動けなかった時のことだったと思う。]
な、なに。
[いきなり横から話しかけられ、思わずびくっと背が跳ねた。>>127]
おれ?……俺はケイイチだけど。
にーちゃんは……っておい、いきなり寝るなよ!
[全身血だらけの姿にたじろぐ間、言いたいことだけ言って飴玉が放り投げられる。>>128
慌ててそれを受け止めて振り返れば、真っ赤な男はもう電池切れ。ただ、眉を寄せたその表情は全く安らかには思えなくて。
おず……と腕を伸ばし、その手を握った。
戦の名残か、酷く熱い。]
(129) 2018/02/20(Tue) 19時頃