― 回想/彼と、 ―
[ 大学に入学する少し前、わたしは髪と瞳の色を変えました。
その頃にはもう娘の自由気ままな生き方を諦めた両親は、何を言うこともありませんでしたね。
あ、でも、「危ないからカラコンはちゃんと管理しなさい」とは言われましたっけ。
似合わなくても構わないと思ってはいましたが、色を変えてから初めて彼と顔を合わせた時。
「似合うものだね」と零された感想に>>121、少なからず安堵したものでした。
彼が人が何をしようと否定しない人なのは知っていても、不安ってどこかにあるものですから。 ]
……相変わらず自由だよね、せんぱい。
あ、もちろん悪い意味じゃなくって。
―――― ありがとう。
[ 昔からの呼び方は変わりません。耳によく馴染んで、ふわんと溶けていきます。
対するわたしは、「慧お兄ちゃん」を止めました。
家の近所で会ったりした時はそう呼ぶこともありますが。 ]
(129) 2016/12/16(Fri) 00時半頃